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【沢登り】僕をアウトドアに引きずり込んだオッサンの話 第3話 靴ザック服装はどうでもいい

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前の話のつづき
 
 
帰りの道はなぜか早く感じた。
ずいぶん前にいたはずの焚き火場をすぐ通過した。
 
心が少し楽になったからゆとりができたのかもしれない。
 
そして思い出した、あの滝のことを。。。
 
 
 
オッサンに滝のことを聞いてもはぐらかすだけだ。
 
「うーん、なんとかなるだろう」
 
ならねーよ!!
 
 
 
滝に到着して不安は的中した。
川を横から回り込み滝壺を覗き込むと、どうみてもど真ん中に丸太が横たわってるのだ。
 
サングラス姿が井上陽水ぽいオッサンは困ったなと苦笑いしてた。
 
 
ならもっと困った顔しろよ!!
 
 
オッサンは確実にこの状況を楽しんでいる。
それがまたムカついた。
 
 
オッサンの考えでは滝を滑り台にして滝壺に飛ぶ予定だったらしい。
それが先日の大雨で滝壺には丸太が横たわっているのだ。
 
滝を迂回してサイドから降りれないか道を探したけど崖ばかり。
木のツタを引っ張り体重をかけれないかターザンしてみたら普通に千切れた。ダメだこりゃ。
 
 
万事休すと思ったらオッサンが言った。
 
 
「らちがあかんから俺先に行くわ」
 
 
 
えぇ!?
 
 
オッサンはロープを使いザックを下ろした。
ロープあったなら僕が滝を登ってた時に使えよ!と思ったけど言うのを辞めた。
 
 
滝壺に座りちょっとずつ進むオッサン。
勢いはなるべく消す作戦だ。
 
狙いは滝と丸太の間。
万が一丸太に落ちてもなんとか避けれるだろうと言ってるけどそれ猫でも無理だから。
 
横に回り込み崖っぷちからオッサンを見守る。
徐々にオッサンは進み・・・
 
行った!落ちた!
 
 
うまいこと丸太の手前、狙ってたポイントにオッサンは落ちた!
でも高さがあるので浮上するまで数秒待った。
それたとても長い数秒だった。
 
出てきた!
 
出てきたけど・・・オッサン!
 
服が丸太に引っかかって顔を出せてない!オッサン!大丈夫かオッサン!
 
呼吸がそろそろヤバイだろと思った時ようやく丸太と離れたオッサン。
 
 
 
一息つき次は僕の番だと残酷なお言葉。
 
 
あぁぁ、ですよね〜。。。
 
 
川に座り、腰をセットする。
下は何も見えない。
滝の音だけ響いてる。
あぁ、神様、なんでこんな事になっちゃったんだろう。。。
 
 
手で体を少しずつ前に移動させる。
 
 
少しずつ・・・
 
 
少しずつ・・・
 
 
その時、尻の摩擦がなくなり急に前に進み出す!
 
丸太に激突だけは避ける!
手で地面を触りながら、なるべく水の流れに逆らいながら滝を落ちる!
 
着水、成功した!
勢いがあるのでそのまま下まで沈む。
 
さっきのオッサンのイメージが頭から離れないので酸素があるうちに急いで顔を出したい。
もがきながら浮上を試みる!
と、そこで脳天に閃光のような稲妻と激痛!
 
何が起こったのかわからずパニックになりながら水面に浮上した。
振り向いて考えるにどうやら僕は頭を思いっきり丸太にぶつけたようだ。
 
はは、水中で丸太に自らぶつかりに行くなんて・・・ははは・・・。
 
 
 
オッサンはよく飛んだと褒めてくれた。
あの井上陽水のようなサングラスは無くなっていた。
滝壺に飛び込んだ衝撃でサングラスは消えたらしい。
あんなサングラス、山の神様も迷惑だろうに。
 
緊張感が抜け2人で大笑いした。
 
 
その後は何事もなく来た道を戻って行った。
岩に登り、高い丸太の上を歩き、今までの生活では考えられない世界だった。
 
今も登山をしているけど後にも先にも本当のアウトドアはこのオッサンと行った沢登りだけだ。
 
誰も絶対にこない無名の山奥、オッサンは俗世と離れたその空間が好きらしい。
人のいる有名な山に誘っても頑なに拒んだ。
オッサンなりの考えがあるのだろう。
 
 
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オッサンは色んな事を教えてくれた。
 
山で食うちょっとした飯の美味しさ。
 
真の男なら自然の中に身を投じなければいけないこと。
 
酒癖の悪い男と山に行くといかに大変かも教えてくれた。
 
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他にもロープ下降の仕方。
高所恐怖症な僕には地獄だった。
 
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普通にツーリングに連れてってくれると思ってたので街用の服で行ったけど泥だらけになった。
 
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でも・・・
 
 
普通の人がつまらない僕にとってオッサンはものすごく楽しい存在だった。
 
普通の人はつまらん!
 
イケメンはもっとつまらん!
 
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結婚してからオッサンとは疎遠になった。
みんな一斉に結婚し、独身で大勢が苦手なオッサンとなかなか会えない日々が続いた。
 
いつしかオッサンは僕たちの輪からフェードアウトして音信不通になった。
昔からの友人も切ったあたり、やはり僕にはわからぬオッサンの考えが何かあるのだろう。
 
でも会えなくても離れていても友達であることは変わらないと思うので、会えるならいつかまた会いたいものだ。
 
僕にアウトドアの楽しさを教えてくれた師匠であるのだから。
 
 
 
そのうち機会あれば他の話もしたいと思う。
 
 
3話になり長くなって たけど読んでくれてありがとう。
石川県にはこんな変わってるけど本当のアウトドアマンなオッサンがいるんだって事を書きたかった。

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